炭酸の活用例
以前から、炭酸ガスが溶け込んだ天然炭酸泉は伝統的医療として多くの人々に親しまれてきました。海外ではドイツの「バーテンバーテン」は有名な温泉保養地で、高濃度の炭酸ガスが含まれた炭酸泉が多く噴出しており、「心臓の湯」とも言われてきました。日本の温泉法では、お湯1リットルに0.25g以上(250ppm)溶けたものを炭酸泉と定義しており、その中でも1000ppm以上のものが高濃度炭酸泉と言われています。現在は、天然炭酸泉に代わって、人口炭酸泉が医療機関だけでなく、温浴施設、介護施設、フィットネスクラブ、エステティックサロン等でも導入され、病気治療以外にも健康や美容目的で活用されています。
毛細血管の衰えがシワ・たるみに
毛細血管は全身の細胞に、酸素や栄養素を運ぶ為に全身に張り巡らされた血管で、総延長は10万キロメートルの長さにもなると言われています。近年、老化や血行不良等により、毛細血管が消失してしまう現象が確認され、ゴースト血管と言われています。肌の真皮層近くの毛細血管が、ゴースト血管になってしまうと、肌細胞に十分な酸素や栄養素が供給されにくくなり、細胞の新陳代謝が低下し、肌細胞のハリが低下、肌にシワ・たるみが発生する原因となってしまいます。肌細胞を支えている毛細血管を健康にし、血流量を正常に戻す事が美肌を維持する為には重要なポイントです。毛細血管の血流量が増加し、血行が促進されると、肌のハリ・透明感も高まります。
炭酸の力で肌細胞が活性化
高濃度炭酸ガスが皮膚表面に付着すると、物理的な濃度勾配により濃度の濃いほうから薄い方へと浸透し真皮層あたりまで到達します。真皮層には毛細血管があるので、炭酸ガスの血管拡張作用により、毛細血管が拡張し、流れる血流量が増加し、血行が促進されます。また、細胞に酸素を運んでいる血液中のヘモグロビンは、炭酸ガスの濃度が高いと、通常より酸素を離しやすくなり、通常より多くの酸素を皮膚細胞に供給することになります(ボーア効果)。普段より多くの酸素を供給された肌細胞は、新陳代謝が活性化し、皮膚のバリア成分であるアミノ酸、ヒアルロン酸、セラミドなどの成分を分泌し、肌のバリア機能が高まります。